最終更新日:2023/10/26
親が亡くなったときに相続する権利収入について、疑問を感じている方はいらっしゃいませんか。一般的な金融資産や不動産資産とは異なり、権利収入はやや特殊な相続資産の一つです。
とくに、ネットワークビジネスにおける権利収入は、通常とはやや異なるルールが存在しているため、相続の際には正しい知識を要します。
そこで、今回はネットワークビジネスにおける権利収入について解説します。
権利収入とは
まずは、権利収入とはそもそも何であるのかを詳しく解説していきます。
思いがけず権利収入を相続することとなった方は、まずは自身が所有することとなる権利収入について理解を深めていきましょう。
ネットワークビジネスにおける権利
権利収入は、ネットワークビジネスにおける権利のことです。ネットワークビジネスとは、一般的な商品とは異なり口コミをメインに販路を広げていくビジネスを指します。特定のネットワークビジネスに入会している会員が、そのビジネスで扱っている商品を非会員に勧めて、会員を増やしていくといったスタイルが特徴です。非会員を入会させて、自分の入会しているネットワークビジネスの製品を購入してもらうことで、購入価格の一部を自身の収益として得られます。この収益がネットワークビジネスの権利収入にあたるのです。
ネットワークビジネスに入会し、会員権を所有している方が亡くなったら、その権利を子どもや配偶者に承継させることが可能です。
他の種類の権利収入との違いを明確化するために、「インターネット権利収入」と称されることもあります。
不労所得の一種
権利収入は、労働して得る収入ではないことから、「不労所得」と呼ばれることもあります。
一口に「権利収入」といっても、実はさまざまなものがあり、ネットワークビジネスのほか不動産投資やアフィリエイト、株式投資、動画配信などが挙げられます。
自分の所有する権利によって収入を得られる仕組みである点が特徴ですが、収入が不安定といったデメリットもあります。
権利収入は相続税の課税対象?
亡くなった親などがネットワークビジネスに入会していて、自身がその会員権(権利)を相続することとなった場合、この会員権は課税対象となるのかは気になるところです。
ネットワークビジネスにおける権利収入は相続の対象となるのか、詳しく解説していきます。
会員権の承継には相続税はかからない
結論からいうと、ネットワークビジネスの会員権の承継に、相続税はかかりません。なぜなら、ネットワークビジネスの会員権そのものには、財産価値がないとみなされているからです。
ネットワークビジネスの権利は、あくまでも「ネットワークビジネスで収入を受ける権利」のことです。会員権を所有しているだけでは収入にはつながらないため、仮にネットワークビジネスの会員権を承継しても相続税は課せられません。
相続した会員権で収益を得たら所得税が課せられる
ネットワークビジネスの会員権の承継では相続税金が課せられないものの、所有した会員権で収益を得たら「所得税」が課せられます。ネットワークビジネスで得た収入は「雑所得」もしくは「事業所得」などに該当するため、収入に応じた所得税を納めなければなりません。
収益を得た年には必ず確定申告を行い、意図しない脱税にならないように注意しましょう。
無体財産権における相続税について
相続税が課せられる財産は、さまざまな種類がありますが、そのうちの一つが「無体財産権」です。無体財産権とは、「物」として存在していない無体の財産に対する課税対象財産のことです。
具体的には、以下が無体財産権として挙げられます。
・実用新案登録権
・意匠権や実施権
・特許権や実施権
・著作権
・著作隣接権
・商標権や使用権
・出版権
・鉱業権及び租鉱権
・電話加入権
・採石権
・営業権
・漁業権
ネットワークビジネスの場合は、上記のうちの「営業権」に該当します。
とはいえ、一般的な営業権においては、買収される企業の評価額と買収価額を指しているため、ネットワークビジネスでの権利収入とは異なる定義です。
権利収入を相続する際の注意点
権利収入を相続するにあたって、いくつか注意点があります。ネットワークビジネスの会員権を相続することとなった場合には、以下の点に気を付けてください。
相続した会員権のネットワークビジネスに詐欺のリスクがある
相続した会員権のネットワークビジネスが、詐欺グループや詐欺業者であるリスクがあります。もともと、ネットワークビジネス業界は詐欺が横行している業界であり、被害者も少なくありません。
仮に詐欺グループや詐欺業者のネットワークビジネスであった場合、金銭的な損害を被る可能性があります。思わぬ被害を回避するためにも、相続する会員権のネットワークビジネスについてしっかりとリサーチしましょう。
相続した権利そのものには価値がない
相続したネットワークビジネスの会員権そのものには、一切の価値がないことを覚えておきましょう。他の権利収入は、相続することでいわゆる不労所得として収入を得られることがありますが、ネットワークビジネスの権利は相続しただけでは収入を得ることにつながりません。
収益を得るためには、会員権を相続した後に、自ら非会員を会員へと促し、ネットワークビジネスの製品を購入してもらう必要があることを覚えておいてください。
おわりに
今回は、ネットワークビジネスの権利収入について解説しました。
ネットワークビジネスの権利(会員権)には相続税が課せられることはなく、相続した後に収益を得たら所得税といった形で税金を納めます。
本記事で触れた内容をふまえ、親の会員権を相続するか否かをよく検討してください。
参考サイト
◆大阪の遺産相続は弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所 – 電話相談は何度でも「無料」です。0120-074-013